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【水性アクリル塗料の基礎知識】プラモデル用塗料は3種類

プラモデル用塗料とはプラモデルや模型などの塗装に合った塗料で、基本的には専用ボトルに入っており、取り出した中身を溶剤や水で薄めてから使用します。種類によってはプラスチック以外に木工模型やなどにも塗装可能です。塗料の分類は主に、次の3種類です。

ラッカー塗料

ラッカー塗料とは「有機溶剤系アクリル樹脂塗料」という油性塗料のことです。国内では3種類の中で最も使われています。塗膜が強く乾燥後にキズがつきにくいこと、乾燥が早く重ね塗りしやすいこと、発色が良いことが主な特徴です。

ラッカー塗料はビン入りのほか、大型模型の塗装に便利なスプレータイプも豊富です。つや消し用のスプレーにもラッカー系商品があります。なお有機溶剤（シンナー）臭が強いため使用する際にはしっかりと換気を行い、防毒マスクの着用や近隣への配慮が必要です。

水性アクリル塗料

水性アクリル塗料とは「水溶性アクリル樹脂塗料」という、水性塗料のことです。臭いが少なく安心して使えるのが特徴で、ラッカー塗料による塗装の上から重ねて塗ることが可能です。乾燥前は水に溶けますが、乾燥すると耐水性の塗膜になります。

エナメル塗料

エナメル塗料とは、スミ入れなどの補助的な作業に使う塗料のことです。金属色の質感やつやの発色が良く、3種類の中で最も乾きが遅いため簡単に拭き取れるのが特徴です。しかし、最も塗膜が弱いので、乾燥後のキズや塗装剥がれには注意が必要です。なおエナメル塗料を直接プラスチックパーツに塗ると、パーツが割れてしまうことがあるのでご注意ください。

【水性アクリル塗料の基礎知識】選び方

ここでは、模型やプラモデルなどを塗装する際に役立つ塗料の選び方を、重視するポイントに沿ってご説明します。

エアブラシを重視するならラッカー塗料

ラッカー塗料は最も塗膜が強いのが特長です。そのため完成後に塗装が剥がれたり、キズがついたりしにくいです。乾燥が早いので作業効率が良く、筆で塗った場合もきれいに仕上げられます。

また、筆やエアブラシなどを準備しなくても手軽に塗装ができる、スプレータイプの商品も充実しています。さらに塗膜の強さを求める場合には、仕上げにラッカー系のトップコートスプレーを使うのがおすすめです。

ちなみに塗装には、細かなキズを埋めるサーフェーサーをかけた後にラッカー系スプレーを使用するのが一般的です。発泡スチロールには油性のラッカー塗料を使用することはできません。ミニチュアゲームのコマを塗装する場合はあまり使用しません。

安全性を重視するなら水性アクリル塗料

水性アクリル塗料は臭いや毒性が抑えられているので、集合住宅やお子様のいるご家庭でも安心して使えます。水性なので発泡スチロールへの塗装も可能です。木工模型の木部への発色も良好。また乾燥する前であれば、水で筆や塗料皿などを洗えて便利です。

なおトップコートスプレーにも水性の商品はあります。近年水性アクリル塗料の性能が向上し、安全性も含め、ミニチュア模型の塗装における塗料はほぼ水性アクリル塗料になります（おすすめもします）。

有機溶剤で希釈しないため、エアブラシへの利用が難しかったですが、最近はエアブラシ用水性アクリル塗料も種類を増やしています。

細かく部分的に使いたいならエナメル塗料

エナメル塗料はラッカー塗料や水性アクリル塗料で基本的な塗りを終えた後、プラモデルや模型の表面に、錆びや汚れなどの加工を施したい場合などに重宝します。プラモデルのリアリティを出すために使われる、スミ入れ作業にも使用可能です。また、塗料の伸びが良いので筆塗りでもムラが出きにくく、発色もきれいです。慣れないと扱いが難しい塗料です。

ジャイアントホビーonlineSHOPでは、水性アクリル塗料のみ取り扱っています※一部スプレー除く。塗装についてのお悩みやご相談も承っております。取り扱っている塗料は以下からご確認ください。

【水性アクリル塗料の基礎知識】メリット

臭いが少ない

水性アクリル塗料を選ぶ一番のメリットは、臭いが少ない点です。有機溶剤が含まれる量がラッカー塗料よりも少なく毒性も弱いので、使用する方だけでなく同居するご家族やペット、さらには近隣への影響が抑えられます。まだ塗装に慣れていない初心者にもおすすめです。

水で調整可能

専用の薄め液なども販売されていますが、基本的に水で濃度調整可能です。筆を用いてペイントをする際にはとても便利に感じる点です。

筆などの道具が洗いやすい

ラッカー塗料がついた筆や塗料皿などの洗浄には溶剤が必要ですが、使用後すぐの水性アクリル塗料なら水で洗浄ができます。ただし乾燥すると耐水となり、洗浄には溶剤が必要となりますのでご注意ください。

つや消しカラーの仕上がりが美しい

水性アクリル塗料はラッカー塗料と比べると発色やつやの面で劣る部分がありますが、つや消しカラーの仕上がりは優れています。発色に関しても、原色系でなければ特に気にはなりません。例えば戦艦や戦車などのプラモデルや模型の塗装に使われる、くすんだカラーであれば問題ないでしょう。

発泡スチロールへの塗装ができる

ラッカー塗料は発泡スチロールを溶かしてしまうため使用できませんが、水性アクリル塗料なら溶かすことなく使えます。

クリアタイプならデカールの保護に使える

水性アクリル塗料は、塗装後に貼るデカール（シールの一種）を溶かさない性質なので保護にも役立ちます。デカールの保護にはスプレー型のトップコートを吹きかけても良いですが、スプレーの使用は気温が低い日や湿度が高い日には適しません。

スプレーではない水性アクリル塗料なら気候を問わずどのような日でも使えますし、筆やエアブラシで細かな部分を塗る場合にも便利です。

【水性アクリル塗料の基礎知識】デメリット

原色カラーの発色や、つやがあまり良くない

ラッカー塗料に比べると水性アクリル塗料は、原色カラーの発色やつやがあまり良くありません。ただし、くすんだカラーを使用する場合には特に気にならず、つや消しカラーは仕上がりが良く種類も豊富です。希望するカラーやつやの有無に応じて選ぶと良いでしょう。

食い付きと塗膜がラッカー塗料より劣る場合がある？

一般的に水性アクリル塗料は有機溶剤を含まないため、パーツの表面を溶かしません。そのためラッカー塗料に比べると食い付きや塗膜が若干弱く、乾燥した後にキズがついたり剥がれたりしやすいとう特徴がありました。

しかし弊社で取り扱っている海外製の塗料は国内製に比べて塗膜強度が上がっており、こういった弱点も解消できているのが特徴です。興味のある方は是非一度試してみて下さい。

塗りムラや塗装垂れに注意

筆で塗る場合には塗りムラができたり、塗り痕が残りやすかったりします。その場合には塗料の濃度を変えてみるか、リターダーを混ぜて乾燥を遅れさせると良いでしょう。また、エアブラシで塗る場合には多めに塗料を吹いてしまうと塗装垂れができてしまうので、量の調節が必要です。